2023年。東日本大震災から12年経ちました。防潮堤や土地の嵩上げ、道路や住宅の建設工事もほぼ終わり、三陸の街は新しく生まれ変わっています。私が大船渡に移住して来て2年半。「ステージレース三陸」や「さんロゲ」の準備のため三陸各地を周りながら気づいたのは、復興したこの地域が素晴らしいランニングフィールドになっているということです。
もちろん、復興工事の目的に、ランニング環境を良くするなどという項目はないでしょう。しかし結果的に、歩道の広い道路や見晴らしの良い橋が作られ、トイレや水場が整備された公園や漁港も各地にできました。快適に走れる道や街が増えているのです。
そしてそれ以上に魅力的なのが、震災前から変わらないリアス海岸の絶景。海岸と呼ばれながら山と崖が入り組んで続く地形です。海を間近に見ながら山を走れることは、リアスならではの大きな魅力です。太平洋沿岸なので雪もあまり降らず、冬でも走れます。「新しいロードと、海を見ながら走れるトレイル」。あの大災害から復興した三陸だからこその、素晴らしい環境だと感じています。
しかし残念なことに、街が新しくなるのと反比例するように人口は減り続けています。立ち直った地域にコロナは大打撃でした。でもランナーの皆さんがここを走り、その楽しさを伝えていただければ、三陸の新しい魅力が広まっていくと思うのです。私自身はガチなランナーではないですし、登り坂ではすぐに歩いてしまうオジサンですが、東京にいた頃より圧倒的に走る時間と距離が延びました。それだけ面白く、飽きないのです。三陸を走ることは。
そんな三陸を走りながら旅してほしいと発案した「ステージレース三陸(SRS)」。コロナ禍の影響で計画は3年近く遅れてしまいましたが、今年はなんとか初めてレースを開催できそうです。
5月末に第1回のSRS100(1泊2日100km)を開きますので、ぜひご参加ください。そしてそれが無事終了したら、11月の3連休に第2回も開きたいと考えています。そして、回を重ねながら距離を100kmから少しずつ延ばし、数年後には目標の全長311km=SRS311を開催することを目指しています。「ステージレース三陸」は、成長していくイベントです。ぜひみなさんもご一緒に、このレースを育ててください!
2023年3月
特定非営利活動法人ディスカバー・リアス
代表理事 中尾益巳